海を旅するカニ飯屋さん|SF飯テロアニメ

【物語】
どれだけ待っても、新しい曲のフレーズが降りてこない夜。
帰る気にもなれず、ミュージシャンはひとり港へ向かう——。
波の音だけがリズムを刻み、月明かりが静かな海を照らす港町。
そこには、“たまに現れる謎のカニ飯屋”の噂があった。
風が止まった瞬間、海の向こうが赤くゆらめく。
低くうなりを上げながら海面を割って現れたのは、
巨大なカニの姿をしたメカ食堂──海を旅する伝説のカニ飯屋さん。
口の部分から伸びた階段をのぼると、
中には、月明かりみたいな暖色に包まれた不思議なレストラン。
鉄板の上ではカニが豪快に焼かれ、鍋ではカニしゃぶがぐつぐつと踊る。
空腹を埋める一口目から、
途中で訪れる“快楽ゾーン”、
「もう終わっちゃう…」と名残惜しくなるラスト一皿まで。
SFっぽいカニメカの世界観と、
リアルにお腹が鳴るシズル感たっぷりの一皿一皿をお楽しみください。



スプーンですくうと、ぷるんと震えてカニ身がきらりと光る。
ひんやりした一口が舌の上でじわじわ溶けて、
空っぽだった胃の底まで、ゆっくりと海の旨みが染み込んでいく──もう、戻れない味だ。


色とりどりの寿司ロールをひと口。
酢飯の隙間からこぼれたカニ身の甘さが、噛むたびにじんわり広がっていく。



ナイフを入れた瞬間、とろりとした卵黄がカニの山に流れ込み、
カリッと香ばしい耳まで卵とカニの油がじゅわっと染みていく。
一口かじれば、サクッ、じゅわっ、とろっの三連打で、空腹は一瞬で静かになる。



ほくほくの山にスプーンを入れると、
中からカニ味噌とバターがとろりと顔を出す。
ねっとりとしたポテトと一緒に口に運べば、
舌の上が一気に濃厚な海のソースで満たされていく。


薄い皮をそっと噛むと、パンッと音を立ててカニスープが弾ける。
熱々の汁が口いっぱいに広がり、
舌の先から喉の奥まで、カニの甘さと塩気が一気に駆け抜ける。
危険な温度だと分かっていても、もう一個。


衣に箸を入れた瞬間、サクッという音のあと、
中からドロッとカニクリームがゆっくり流れ出す。
ふうふうしながらかじれば、サクサクの殻の中で、熱いクリームが舌にまとわりついて離れない。



殻をバキッと割ると、白い身から透明な汁がじわりとにじみ出す。
何もつけずにかじれば、噛むたびに繊維の一本一本から甘い汁がじゅわっとあふれ、
塩だけでここまで美味いのかと、喉の奥が勝手に鳴ってしまう。



ガラスのドームを開けると、白い煙がふわりとこぼれ落ち、
中から艶やかな生ズワイが姿を見せる。
ひんやりした身をかじると、むっちりした歯ごたえのあと、
燻した香りと甘さが同時にほどけて、頬の内側が思わずきゅっとなる。



透き通ったカニ出汁に、薄切りの豚をくぐらせる。
湯気の向こうで、脂と出汁がぐつぐつ絡み合い、
口に入れた瞬間、柔らかい肉の中からカニの香りをまとった脂がじゅわっとあふれ出す。



分厚いピザを持ち上げると、チーズとカニが糸を引きながらゆっくり落ちていく。
その糸ごと、無理やり口にほおばれば、
とろとろのチーズの熱と、カニの塊の甘さ。
もう上品に食べる余裕なんてどこにもない。



表面の泡がプクプク弾け、縁からとろりとこぼれたソースが、
熱いまま固まる前にスプーンでさらい取られる。
ひと口すくって舌にのせれば、焦げたチーズの香りと濃厚な味噌が、ゆっくり、ねっとりと広がる。



ナイフを入れると、ポーチドエッグの中から濃い卵黄がとろりとあふれ、
段々になったカニの層を伝って下まで流れ落ちる。
ふわふわのパンと一緒にかじれば、
卵とソースとカニの身が、一度も離れずに舌の上で溶け合いながら、喉の奥へすべり落ちていく。



ひと口含むと、最初はビターな甘さだけが広がり、
遅れて、奥のほうからカニ味噌の塩気と旨みがじわじわ押し寄せてくる。
甘さとしょっぱさの境目が曖昧になっていく時間が、たまらなく心地いい。



スプーンを入れると、プリンとジュレがぷるんと揺れて一緒に口の中へ滑り込んでくる。
ほのかな出汁と柑橘の酸味が、カニの余韻をやさしく包み直す。



パリッと割れたカラメルの下から、キャラメルとカニ味噌のクリームがとろりとあふれ出す。
最後の一口を飲み込んだ瞬間、胃の底から静かな満足だけが広がっていく。




